まずは  よろしく



このシリーズでは、トレードをあえて賭け事、つまりギャンブルであると表現し、アナタが賭け事で成功するために理解すべき7つの重要な考え方について触れていく。これは、長期的に賭け事で成功を収めるために身に付けなければならない考え方だ。ギャンブルを否定し、リスクを取ることを嫌いながらもFXで成功を夢見る 利己主義な方には、全くもって役に立たない話 である。


④金への執着心を捨てる



怖がっている金では勝てない。


勝負事においては使い古された決まり文句だが、非常に重要な考えだ。言わんとしているのは、金を失うのを怖がりながらトレードをしていれば、最適ではない決断をしがちであり、勝てる可能性が低くなる、ということだ。


くどいようだが、正しい判断を下すことは、長期的に最も多くの金を稼げる選択をするということだ。


アナタが金を失わないようにすることで頭がいっぱいなら、もはや正しい判断を下そうとしているとは言えない。アナタは今や損失を管理し、分散(資金の増減)を減らすための決断を行っていることになる。分散を減らしたいがために、プラスの期待値を持つトレードチャンスを諦め、自分の首を絞めているのだ。


大きな利益を上げることができるトレードは、そもそも勝率が低いものであるから、プラスの期待値を諦めてしまえば、それだけで勝ち組トレーダーから負け組トレーダーに転落してしまう。


まさか、アンタが取引口座にバンクロール(※)の全てなり、来月の家賃なりを持ち込むようなマヌケではないだろう。しかし、たとえ全財産を賭けていなくとも、ビクビクしながらトレードすることはある。トレードがどのくらい臆病になるかは、概ね次の2つの要素になる。


※バンクロール管理とは、長期的にトレードするための十分な金を確保する行為をいう。要は資金管理のこと。


  • まずは、『バンクロールの強度』はどうか?想定されるダウンスイングを吸収できる予備の資金はあるか? 最近負け越していて、今の取引Lotではもはやバンクロールが足りないという境界線を越えて(もしくは限りなく近づいて)いないか? 最近、取引Lotを上げたことによって、バンクロールが相対的に小さくなっていないか?

  • 次に、『金に対する姿勢』はどうか? アナタは普段から危険を冒さないタイプか? 金を失うことの恐怖が、金を勝ち取ることの欲望を凌駕してしまうことがあるか? 分散が減るならば、期待値が減っても構わないと思うか? 適正なバンクロール管理ができていても金を失うのが怖いか? 

当てはまることがあれば、アナタは問題を抱えている。これらは、トレーダーとしてふさわしくない特性だからだ。

アナタがトレードでリスクに対し中立な姿勢を取れないのであれば、トレード自体をやめてしまうか、賭ける金額がアナタにとって痛くもかゆくもないような巨大なバンクロール(もしくは非常に低い取引Lot、またはデモ口座)でトレードするしかないだろう。


臆病なトレーダーには、次のようないくつかの罠が待ち受けている。


(1)損切りができない

金を失うのが怖ければ、アナタは含み損を抱えたポジションを、あらかじめ決めておいたロスカットポイントで決済することができない。自分の思惑が明らかに間違っていたにもかかわらず、金が減るという現実を受け入れることができない。理性では損切りすることが正しい判断だと分かっていても、負けを認めることができず、自分の意志によって早期に損失を受け入れることができない。そして、含み損が減ることに期待したり、マーケットにお祈りするようになるのだ。

この結末が何を引き寄せるか、もう分かるだろう? そう、大損だ。俗にいう、
塩漬けである。


(2)タイトにトレードしすぎる

金を失うのを恐れていると、期待値がプラスとなるトレードチャンスにエントリーすることができない。マーケットは上下によく動くものであるが、その多くは
不確実でランダムな値動きによるものだ。だから、大きな利益を出せるチャンスは、それほど多いものではない。

利益を得ることが可能であったチャンスを逃すことを、『オポチュニティコスト』とか『機会損失』という。
オポチュニティコストは、実際の損切りよりも悪質だ。

例えば俺の場合、2017年1月からワンショット100Lot(1,000万通貨)で取引している。平均損切り幅がマイナス8pipsで金額にすると約9,000豪ドル前後になるようにリスクを取っている。平均的な利幅がプラス150pipsになればと
金額にすると約175,000豪ドルになる。

もし俺が、9,000豪ドルのリスクに躊躇してエントリーしなかった場合、175,000豪ドルのオポチュニティコストを支払うという意味になる。俺のエントリーは最低でも、勝率4割で損益比率20倍以上の確率に収束してくれるので、期待値の高いルールに合致したエントリーチャンスに飛び込まないということは、非常に大きな機会損失になるということだ。

つまり、タイト過ぎるトレーダーは、『あの時、エントリーしておけば良かった!』と、いつも後悔ばかりすることになる。


(3)再エントリーができない

最初に買いでエントリーしたポジションを、ルール通りに小さく損切りをした。それは短期的な確率のブレであり、たまたま相場のノイズに刈られただけのこと。

損切り後にもう一度買いエントリーのチャンスが訪れたが、先ほどの損切りの残像が頭に残り、チャンスに乗ることができない。恐らく誰もがこういったことを経験するだろう。もちろん俺だって経験してきた。2連敗を恐れてエントリーを躊躇したのち、思惑通りに相場が進み、結果として多額のオポチュニティコストを支払うことになる。

2連敗となる可能性があるとしても、その10倍以上の
オポチュニティコストを支払う羽目になるくらいなら、2連敗を覚悟してチャンスにエントリーする方が、長期的には正しい判断を下すことになる。短期的視野のトレーダーは、少ない試行回数では理論的確率に収束されず、運に左右されることを理解できないのだ。

もちろん俺だって、主観的には2連敗はしたくないし、2連敗したら胸糞が悪い。しかし、冷静になって客観的な視点で自分のトレードを振り返ると、
2連敗してもエントリーしたことに後悔することはない。

もっとも後悔するべきことは、エントリーに躊躇して本来得られたはずの利益を得られないことである。つまり、多額のオポチュニティコストを支払うということだ。


(4)追撃(増し玉)、複数銘柄同時エントリーができない

相場にいい流れがあるときは、追撃のチャンスや複数の銘柄で同時にエントリーチャンスがやってくるものである。短期的視野のトレーダーは、そのチャンス全てに失敗することに怯え、やはりエントリーすることができない。主観的な感情の恐怖心に支配され、長期的視野で淡々と試行回数をこなすことができない。少ない試行回数は運に左右されるもの。そして追撃や複数銘柄同時のエントリーチャンスは試行回数をこなすのに好機となる。

結果として3連敗や4連敗となる可能性もあるが、3連勝や4連勝の可能性だってある。全てのトレードはそれぞれ独立した事象であるので全く確率に関連性はない。先ほど負けたからまた負けるのではないし、先ほど勝ったからまた勝てるのでもない。

冷静に客観的視点に立って、全ての勝ち負けが独立した事象であることを認識しなければならない。だからこそ、長期的視野でトレードする必要がある。

追撃(増し玉)や複数銘柄同時エントリーができないということは、長期的視野において多額のオポチュニティコストを支払うことになる。


(5)チキン利食いしてしまう

せっかく含み益が出ているのに、多少のドローダウンで利益が削られることに耐え切れず、本来決済する場面ではないのに利食ってしまうこと。これをチキン利食いという。

またエントリーして間もない時、建値付近で数時間も揉みつくことがある。ロスカットはギリギリ凌いでも、スプレットや取引手数料などのコストを回収できていない状態はストレスが溜まる。そんな時に10pipsや20pipsの含み益が出ただけで決済してしまう。何とも勿体ないことだ。揉みつく時間が長ければ長いほど、保有してれば数百pipsの含み益に膨らんでいくポジションは案外あるもんだ。

先日のことだ。俺のコンサル受講生からLINE電話が入った。

『今、1月20日にエントリーしたポンドドルを保有していて200pips以上含み益が出ています。でも、今夜はアメリカの指標がありますし、決済した方がいいでしょうか?』

俺が教えた取引ルールのエントリーなのだから、俺も同じ場所からポジションを保有していた。そして俺なりの考えを伝えた。

『200pipsの含み益を飛ばすのは俺だって嫌だ。でもな、それを飛ばしたからと言って死ぬわけではないし、トレードができなくなるほどの損をするわけではない。単に含み益が飛ぶだけだ。俺は含み損に対してのギャンブルは絶対にしないが、含み益には徹底的にギャンブルをする性格だ。失敗するかもしれないが、今夜の指標でぶっ飛んで含み益が爆発的に増える可能性だってある。だから指標に関係なく保有するよ。目標指値はまだまだ先だから。ただし、俺の話を聞いて、その先の判断をどうするかはキミ次第だ。もし今の含み益を飛ばすと後悔するくらいなら、指標前に決済した方がいいぞ。』

結果的に、そのポジションは生き残った。後日、400pipsを超える含み益になったが、またドローダウンしてきたので+300pipsほどで決済した。後で聞いたが、そのコンサル生は+400pipsで利食っていた。おいおい、すげーな、天辺で利食ってるじゃねえか!!
+400pips超の利食いは初めてだったらしく、喜んでたよ。


含み益っていうのは、まだ現実的に自分の金ではない。それを失ったところで口座の金が減るものではない。結果として含み益を飛ばして小さく損切りするとか、建値でゼロストップになることはあるが、数百pipsの大利に育つことだってある。

そのトレードの一つ一つが独立した事象であることを理解し、長期的視野でトレードに臨まなければスイングトレードでの大利は成功しない。つまり、含み益が減ることを恐れてチキン利食いしてしまうってことは、長期的視野においてオポチュニティコストを支払うことを意味する。





大損をぶっこいても笑っていられようでいたいものだ。それができるトレーダーも確かにいるだろうが、俺を含めほとんどの者には無理な話だろう。ほどほどの損失は短期的にやむを得ないと頭に刻み、あらゆる損失を想定することが俺たちの多くができる最善策だ。失うことを恐れるあまり、トレードに悪影響を及ぼさないことが重要なのである。


当たり前だが、取引Lotを上げると一度に失う金額を受け入れるのは難しくなる。ほとんどの者はワンショットで$80を失うことなら容易に受け入れるだろう。この程度の額なら、普段の生活や遊びの中で使っている額だからだ。しかし、
ワンショットで$2,000や$5,000、さらに$10,000を失ってしまうと大金となる。人によっては数か月分の家賃になったり、数か月分の月収に相当する金額だろう。


人に、金に執着しない方法を教えることは、なかなかできない。こればかりは自分で学ぶしかない。
特に、リスクアレルギーを持つ者にとっては、なかなか身につかない。これまでの人生において、どれだけの修羅場をくぐり抜けてきたか、その経験による影響が大きい。


それでも、金への執着心を減らすのに役立つ3つの方法がある。

  1. 経験:トレード回数が増えれば増えるほど、賭ける金額に慣れてきて影響されにくくなる。

  2. バンクロール:先ほどの$2,000も、アナタのバンクロールが$200,000なら小さく見える。俺のおススメは、ワンショットのリスクはバンクロールの1%以下だ。アナタのバンクロールが100万円なら、ワンショット当たりのリスクは1万円以下に抑えた方がいい。

  3. 分離:トレードのバンクロールが日常生活で使う金と完全に切り離されていれば、金を儲けても失ってもあまり現実的ではない。多くのトレーダーは証券会社の個人口座でトレードを行っている。だから、どうしても生活費と混同してしまいがちになる。会社を作り、法人口座で取引すれば、完全に個人の金と切り離してトレードを行うことができる。また、様々な経費と通算もできるので節税にも役立つ。ただ、これはあくまで利益を出すことができる実力が平均以上のトレーダーに限る話だが。

現実的には、恐らく3つの手段を上手く組み合わせて順応する必要があるだろう。常に正しい判断を下し、『縮こまってトレードする』のを避けるためには必要なことだ。

金に執着しないようにするには、たやすいことではない。基本的に時間を要するプロセスになる。リスクに耐え得る取引Lotとバンクロールでトレードすることを常に心掛けたほうがいい。取引Lotを上げるためにバンクロールを築くときは、自分のリスク耐性も磨かなければならない。心の準備ができていないままに取引Lotを上げる必要はない、と自分に言い聞かせよう。 


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次回は、『トレードに自尊心を持ち込むな』について書く!

⇒ 賭け事で成功するために必要な思考習慣⑤



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